福井城の跡地は現在福井県庁と福井県警本部として使われており、堀・石垣等一部の遺物しか残存しておりませんでした。おとなり石川県の金沢城も、明治以降は陸軍第九師團司令部、金沢大学の敷地として使われていましたが、郊外へ移転したことをきっかけに城址公園としての整備が進み、隣接する兼六園と相まって観光の核となっていました。
これを意識したのかどうか定かではありませんが、福井城に関しても平成25年には福井県と福井市が、福井城と隣接する中央公園を一体として歴史公園としての整備事業を行う計画を策定しました。これに基づき福井城山里口御門と御廊下橋が復元整備されています。
御廊下橋~お殿様は春雨に濡れずに通勤~
御廊下橋は本丸と西二の丸(山里丸)を接続する橋で藩主が本丸を行き来するために橋そのものに屋根がある構造となっています。雨や曇天、雪の多い北陸においてお殿様の登城の利便を考えたものですね。
山里口御門~石瓦が映える強固な防御施設~
先述のとおり、平成25年に計画、平成29年に復元完成した山里口御門。本丸へ通じる入り口を防御するため櫓門と棟門をもつ枡形構造となっています。枡形を構成する石垣上には分厚い土塀が置かれ銃撃・砲撃からの防御を指向しています。門の屋根瓦は福井市内で算出する笏谷石の石瓦が用いられ独特の青緑の色彩が特徴的となっています。
櫓門の内部は武器庫として使われていたようです。復元された櫓門内部は解放され、福井城と山里口御門を紹介する展示室となっています。
天守台~四重五階建の壮麗な天守~
福井城にも天守はありましたが、火災により焼失。残された図面からは望楼型四重五階建、37mの高さをもっていたことがうかがえます。現在は天守・小天守石垣が残っています。とにかくどこのお城も火災の被害で燃えてますが福井城も例外ではありません。
福の井~福井の発祥地~
天守台には「福の井」と呼ばれた井戸が残っておりこれが「福井」という地名呼称の発祥と言われています。
城址公園の整備
各地の城址で復元整備が進んでいますが、福井城もまずは隅櫓と塀の一部くらいは整備できるといいなあと思っています。とはいえ、県庁・県警の移転が前提となりますが。福井はターミナルである福井駅から遠い場所に有力観光地が点在しているので、駅のすぐ近くに観光の核となるお城があることは有力なコンテンツになりうるのになあ、と考えています。
メモ
福井城址は、JR福井駅から徒歩5分
山里口御門の開放時間:午前7時~午後6時
入館料:無料 駐車場:無し(隣接する佐佳枝社の駐車場が至近)